花模様 専慶流 ●2014年10月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞
いけばな専慶流/久留米鶏頭
●花材/
久留米鶏頭
●花器/
銀、紺釉花器 大津寄花堂作陶

●畑で栽培した久留米系鶏頭。

 

ポイント 
 この鶏頭はすでに20年以上も前から種を受け継いで栽培しているものだが、突然変異?で色や形は変わり、飽きる事がありません。
葉はすべて取り、花塊と幹に焦点を絞っていけています。子供の頭大の大きさの花塊は重く、足元の留め具に工夫がいります。ここでは鉄筒に又木を仕込んでいけています。
茎の曲がりや大きさ、そして色の組み合わせなど鑑みてダイナミックな構成を試みます。又木留めのため、生ける順番は前の控の枝を最初に配し、順次上の枝へといけ進めていきます。

水揚げ 水切りしますが、切り口は真っ直ぐに。




●花材/

エンコウ杉、ノイバラ、クジャクソウ、ピンクッション

●花器/

大津寄花堂作

いけかた 
 庭園に植えられる常緑かん木。手長猿が手を伸ばしている形に似ていることから名付けられたと云われるエンコウスギ。杉と聞くとアレルギーの言葉が横切るが、エンコウスギの花を見た人はいないので、花粉症の心配はない。
短い針状の葉が蜜に付いているところとそうでない場所があり、離れた位置から眺めると、あるなしが独特の動きを示しているのに気付く。自然のたわみにさらに手を加え、左右に広げたカタチに構成。中心部に野いばらの実、ピンクッション、クジャクソウを配し、左右対称の要とします。

水揚げ 水切り。

いけばな専慶流/エンコウ杉

ペニセタム  ペニセタム

過情報への対応

 テニスの錦織圭が96年ぶりの4強入り、そして4大大会日本人初の決勝進出を。惜しくも準優勝に終わったが、至る所で時間を問わず見入った多くの人々は惜しみない賞賛の拍手を贈った。彼に限らずあらゆるアスリート達に向けられる応援と賛辞は、そこへ到るまでの抱き続けた夢への惜しみない努力と揺るがぬ意志の強さに贈られたもの。また、山中教授の作製したIPS細胞、この細胞を使った初めての手術が実施。日本の最先端、再生医療の現場が一歩前進のニュース。反面STAP細胞問題は未だに解決されず…どちらも患者を思っての研究なのだが、置かれた現状は大きく異なる。更に、朝日新聞の「慰安婦」「吉田調書」記事の誤報謝罪、単純に誤報と片付けられる問題ではない。このように私達は日々様々なニュースに一喜一憂、時には人生に大きく影響する事もある。 
 感性、感覚、価値観…同じニュースを目に、耳にしても、受け留め方は千差万別。そこから導き出される答え、単純に良し悪しの判断をすれば本来一つであるべき回答も、現代社会では複雑極まり無いものに。同じ問題も見方、捉え方…更に一番厄介なのは物事の本質ではなく、立場や地位と言った後天的付加要素次第で、まるで異なった判断となり、言論の自由の下、それが公然と述べられる社会だからだ。情報の悪循環?例えば普通に考えれば当然「否!」と断定が下される事であっても、誰かの一言、それに右へ倣えがまかり通る世の中…誰が考えても決して良い結末とは成らないだろう事が。

 例え今この瞬間を巧く通り過ごせたとしても、いつか必ずその報いを被る事があるはず…近年の自然災害、原発問題、様々な理由を元に後を絶たない紛争…現代社会が抱える多くの問題は、我が国だけでなく世界中の問題であり、その元が何処にあるか、私達人間の我が儘な欲望から生じた文明社会がもたらしたものであると言う事だけは確かなようだ。だからこそ人任せにせずひとりひとりが最大限の考察をし、ぶれない自分の意志の確立…それしかなく、その上で自分の下した決断に責任を持つ事が大切であるという結論となるのだが、はたして長い時間の積み重ねの上にある現代社会、どのように改善して行けるのか、ましてや個人による真実の追求は容易ではない。
 西アフリカ諸国のエボラ出血熱の流行、代々木公園に始まったデング熱の感染拡大。新たに発見された伝染病ではない。デング熱に至っては、日本の様々な地域で普通に発生している…と。では何故今パニックに。大きな要因は医療技術の発展に伴う検査機能の向上により断定が容易になった事、そして何よりもネット社会だと云う事。過度の情報が入り乱れ、情報発信の高速化、広域化が人々を瞬時に不安へ、パニックへと導いてしまう。発信された情報が正しければ良いが、確かな情報を得る判断能力、そして、どんなに些細な事でも自らの発信にも責任を持たなくてはならない。

             華道専慶流 西阪慶眞


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