花模様/専慶流 ●2014年1月1日発行/専慶流いけばな眞樹会主宰・西阪慶眞
寿松

●近年、松は過去の素材と思われ気味だが、決してそうではなく、とても重厚で、気品があり、落ち着く。赤系統と黄色、緑のオーソドックスな正月色で組み合わせた作例は「投入、横体形」の応用。奥行きの浅い花器なので、前への傾斜扱いは難しいが、普通の花器でない組み合わせ故の面白さが伝わって来る。横木などを使って技巧を表面に出さない「さりげなさ」を。

ポイント 
 正月にいける松は日持ちするものの緑の冴えがなくなってきます。時折逆水をかけて生気をとりもどしてやります。デンファーレは花色が見えないと質感も出ません。他方に向くような場合は一花づつ引っ掛けて前に向くよう工夫します。


寿松

●花材/ 寿松、エピデンドラム、ドラセナ、デンファーレ、スイトピー、ルスカス
●花器/ 赤オレンジ色現代花器
●花材/ ロウバイ、シンビジューム、エピデンドラム、カスミソウ、レザーファン
●花器/ 濃紺色扁壺形花器

ポイント 
 蝋梅は作例素材のように直線的なものが多く、枝そのものに面白みがない。単調さを払拭させる意味で、左右への動きを強調させます。シンビジュームなど色花は広げず、中央前後に配し、引締めます。カスミソウはマッス扱いに。

水揚げ 水切り。

いけばな専慶流/蝋梅

 いけばな専慶流/温室 温室内の休憩場

新たなるスタート

 新たな年を迎え、過ぎた時間へのけじめと新たな目標を掲げるには、年齢を問わず大きな節月。皆さんは、新たなスタートにどんな望みを、目標を掲げたのでしょう。
 2月にはソチで冬期オリンピックが開催される。様々な競技に興奮と感動、時には涙する場面も…それは、結果に対する賞賛だけではなく、そこに到るまでの過程、時間を掛け積み重ねて来た努力や、時には怪我等の試練に死にものぐるいの一途な思いで向い乗り越えて来た、彼らの懸命な努力に対して敬意をはらう、心からの拍手に他ならない。
 アスリートに限らず芸術家、学者、技術者…私達は報道を通して、いながらにして多くの秀でた才能が世に出る瞬間に遭遇する。そして、そこに到るまでの個人の生きて来た過程を垣間見る機会を得る。誰一人として一朝一夕に得られた結果ではない。多くの試練に挑みながら長い間積み重ねて来た研鑽があったからこそ導きだされた結果なのだ。しかし、全ての人に苦労の末の当然が訪れる訳ではない、様々な事情で志半ばで諦めざるを得なくなった人の方が遥かに多いのだ。そんな現実の中で夢へのステップを歩み続けられる…これはある意味奇跡だと言えないだろうか。そしてこの奇跡への起端は、特別な事では無く、自ら作り出したもの。ただ好きだから、楽しいから、もっともっと上手になりたい、沢山の事を知りたいという誰もが持つ自然の欲求に過ぎなかった。誰かに強要されて選んだ道ではなく、自分の欲求を自ら満たして行く延長線上で、夢や希望に繋がったに違いない。幼い日の感性が選んだ自らの道ゆえ、自己責任の上に前進あるのみ。

責任転嫁の相手など居ない、自問自答の繰り返しと努力によって前に進む…見返りは現時点での自己満足であったり、使命感…それがまた次のステップへの目標欲求へと変化して行く。一流と言われる人達はその年齢に関わらず、常に現状に満足しない(正確には満足できない)。一つクリアーすれば次の高みへと新たな目標を持ち、何処までも先を目指し続ける。エンドレス…。だからこそ、そんな姿が周りを動かし、誰かが無意識のうちに手を差し伸べ、後押しを誘うのだろう。
 人は決して一人で生きているのではない。互いの間に時間を掛け結ばれた信頼によって互いを高め合い、生かし合っている。持って生まれた才能や環境にどんな違いがあろうと、生きる権利は平等に与えられたもの。どんな生き方をして時を積み重ねて行くかは、私達一人一人が責任を持って決定し、人のせいではなく、自らの意思で自分の明日を導きださなくては成らない。一流と呼ばれる人達には、持って生まれた才能や、それをバックアップしてくれる環境が整っていたから…と責任転嫁しても何も始まらない。人と比べるのではなく、自分はどうありたいのか、自分の為に今何が必要なのか…与えれた現実の中で自分を磨き、高めて行く事が与えられた命を生きるという事。流れて行く時間を憂えて過ごしたり、「今さら…」では無く、新たな年に、新たな自分探しに挑戦をして見るのも、楽しく生きる方法では?。大きな一歩より小さな一歩…。もう限界!、物理的なら仕方ないだろうが大方は精神面でダメを云ってるのではないだろうか?。

         

                華道専慶流 西阪慶眞


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