花模様/専慶流 ●2013年5月1日発行/専慶流いけばな眞樹会主宰・西阪慶眞

専慶流/クレマチス


クレマチスは水切り後、根を砕いておきます。

●クレマチスは以前「てっせん」の名前で知られていた。今日でもその名前を使う傾向にあるが、これは間違いなので注意したい。テッセンは原種に属し、多数の交配種などは属名の「クレマチス」と呼ぶのが正しいのです。
ガラスブロック花器に自栽のクレマチスを鮮やかに生けています。キウイ蔓を花器の外と内にうまく連動させるように構成し、その蔓に引っ掛けるようにしてクレマチスを。強弱を強調する意味で蕾を長目に配しています。


ポイント 
 キウイ蔓は自然に曲がっている部分をうまく絡ませ、花器の中と外をうまく連携させます。クレマチスは引締め役の短いものから入れ、最後に長い枝を流し、全体のバランスを取ります。

●花材/ クレマチス、キウイ蔓
●花器/ ガラス花器

花がらを造形的に使用することも。
クレマチスの花柄
●花材/ ダリア一式
●花器/ 現代花器(大津寄花堂作)

ポイント 
 ダリアの茎は空洞で、割れると水揚げが悪くなるので丁寧に扱います。菊同様、大輪、中輪、小輪など、多くの種類がある。切り花にも少しは流通しますが、自栽ものを色彩本位に扱うといいでしょう。
あまり大きな葉は整理しておきます。

水揚げ
 水切りをしますが、その際、茎が割れないよう上手に切る事が重要です。

いけばな専慶流/ダリア

 いけばな専慶流/ボタン ぼたん

後ろ姿に孤高のプライド

 あなたの家にはどんなしきたりが残っているだろう。もしかしたら「しきたり」と言う言葉は死語の扱いになっているのかも。「郷に入っては郷に従え」、これまではそれぞれの土地や家庭には独自の習わしがあり、それに倣って行くのが当たり前…だった。現代社会では、現実的で無い!と一喝されるかも知れないが、無意識の内に実行している事もあるのでは。例えば、家族の誕生日は全員集まって祝ったり、一番風呂は家長、妻は三歩下がって歩くと言う今時時代遅れと言われそうなもの、新年を迎える為の「鏡餅」や「門松」、初節句は兜と鯉のぼりを…等々、それぞれの家に多種多様な内容が確かに内在している。「しきたり」と言うより、家族のルールと言った方が良いのかもしれない。
 今時「しきたり」を何故取り上げたのか。実は、プロ野球選手へ、公式戦初日の朝は何を食べてきましたか?と言うインタビューに、赤飯と鯛のお頭付き…という解答を、赤飯にいたっては10人中9人が答えた。一見、不思議なことでは無いのだが、今は豆が嫌いだから赤飯はいらない、魚が嫌いだから肉でと言う人が増え、誕生日のお祝いもレストランで、家族では無く仲間で騒いで…と言う風に変化している現実を目の当たりにしているから、華やかな世界?にいる選手達の解答としては、とても新鮮に思えたのだ。当然、昔から我が家でも、何かの記念日、正月、特別な喜び事がある日は必ず赤飯と鯛が食卓に並んだ。赤飯は慶弔ともに食され、盛り付けには必ず南天の葉が添えられた。この葉の持つ毒消し作用の他に、忌み事では偶数の葉を裏面に、祝い事などでは奇数の葉を表面に配す作法などは、理屈では無く昔から暗黙の了解事項として、違和感無く続けられて来た。

無理強いでも、違和感を感じながらでも無く、自然の流れの中にあった。一見、無意味にも思えるしきたりは、長い歴史の中で、神を、先達を敬い、自然やその恵みに感謝し、共に生きる喜びを分かち合い…人と人を繋いで行くもの。その内には日本の数々の美意識、背筋を伸ばす規律、感謝の意を研く機会を創っていた。
 新年度が始まり一ヶ月、「新…」と呼ばれる希望や夢を持って新しいスタートを切った人達は、さてどんな感想を抱いているだろう。新入も、それを受け止める側も、まだまだ緊張の解けぬ日々だろう。始めが肝腎、スムーズにスタートを切り、馴染んで行ける事を祈らずにはいられない。郷に入って…はここでも言える事。最近の若者は、子供は、「打たれ弱い」と言われる。つまずきや失敗に馴れていないのだとか。では、そう表現される現代社会を当たり前と受け止めて良いのだろうか。過保護の「過」は、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」…もう見慣れた光景だが、入社、入学式の会場へ向う両親、祖父母の一団。近年は会場の都合で一家族何人まで…と言う制限の案内さえ届くらしい。この光景もある意味高齢化社会、少子化社会の象徴、豊かで平和な社会そのものと思うのは、自分の育った時代と余りに違っているからだ。時代の流れなら、良し悪しを問えない。しかし、芯の強さを培うのは、見える位置に居る事では無く、心の支えと感じていられる信頼関係を築く事なのでは。先日亡くなった三国連太郎氏と息子の佐藤浩市さんの関係に共感を覚えた。

  

                華道専慶流 西阪慶眞


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