花模様/専慶流 ●2011年9月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞

●石化柳の茎は秋深まると寒さで飴色に変色し、その艶やかな色調が好まれて来た。しかし近年ではそれ以前に素材として取り上げる事が多い。まだ葉が付いている場合は総て取って茎だけにして扱うのは従来通り。
●バラと同じように鋭い刺があるスズバラ。紅い実がユーモラスです。

ポイント 
 石化柳の茎の動きを捉え、リズミカルな交差美をねらいます。動きがない場合は少し撓めておきます。彼岸花は蕾みを含ませておくと変化が出ます。剣山は2個使用。



●花材/ 石化柳、タニワタリ、スズバラ、彼岸花
●花器/ 短冊型指定花器
●花材/ 秋明菊、チロリアンランプ、枯葉(ヒマワリ、オーガスタ)
●花器/ 手つき創作器

ポイント 
 夏の猛暑に耐え、背丈1メートルに及ぶ茎を伸ばし、頂上に純白の可愛い花を咲かせる秋明菊。その名の通り、群生の花に月明りが反射し、柔らかい空気感をかもし出す。水切りをしっかり施しておけば長持ちする。投入手法を使った現代花だが、枯れ素材からしっかり構成し、次いで中心部に自然な表情を大切に秋明菊を。下部にはチロリアンランプをさりげなく。

水揚げ 水切り。

いけばな専慶流/ヒマワリ

 いけばな専慶流/フロックス 秋明菊の葉株

どうする信頼の回復

 先日、ある華道連盟が市の行事参加の為、一つの大作を共同でいけあげた。年長の先生は八十才近く、参加した30名弱の平均年齢は六十代半ば…超が着くほどベテラン先生の集まりが、流派を越え、ひとつの作品に取り組む。ミーティングを重ね、下準備。順調な生け込みの最終段階、一本の花、一本の枝、一枚の葉への思い入れ、経験、こだわりから、例年、納得という結論に届かなくなる。それでもある程度の葛藤の後、互いを認め合う協調性、利点がどことなく生まれて来る。片付けを済ませ、完成した作品を前にした時、誰もが充実感、満足感を共有出来た実感に浸り、ほっとするのだと。
 一人のタレント、突然の芸能界引退のニュースが。民主党代表選立候補者の決断と重なった。翌日の新聞トップ記事には、当然立候補者関連が組まれて居たが急遽縮小。本来三面記事扱いのニュースが写真入りの一面掲載となった。引退に一般紙の中立、擁護意見に対し、スポーツ娯楽紙は批判、攻撃的記載が読者の目をそそる。責任ある決断だからこそ、過ちに気付けば心から反省し、時には心から詫び、そして新たなより良き方向へと転換する。周囲の意見に耳を貸せばそこに多くの人の思い、判断が含まれ、信頼関係も出来、誤りない道が拓けるのでは…。
 しかし、現代社会はそんなに容易く無い。自分の利益を追求するあまり、曖昧に済ませている事が多い。何事も、単純明解とは行かない。だが、欠陥が見え始めた時、少しでも速く手遅れに成らない内に立ち止まり、軌道修正する勇気もまた必要。どんな批判を受けようが、将来に不安を感じたその時、今何をどうすべきかを、責任転嫁では無く、一人一人が責任をもって考える習性を身につけておきたい。

 人の人生ではない。より自分の納得行く生き方をする為に、自分に出来ること、自分に課せられた最低限のルールを遵守したい。人は人であり全てを備えた神ではない。様々な事を学び、経験を積み重ねながら、同じ過ちを犯さない様に可能な限りの努力をすることが、将来へと繋がって行く。
 この春一つの天災に多くの命が奪われ、さらに国の存亡にまで影響を与え兼ねない放射能汚染と言う現実を突き付けられてしまった。過去を嘆いても始まらない。過ぎた時間は戻らず、時間は立ち止まる事も許してはくれない。人に責任転嫁した所で何も改善されない…。一人の小さな人間に、国を動かし地球を救う事など非現実的としか思えない…が、身の回りの現実でさえ困難を強いられる日々、少しでも、目先の事ではなくその先を見る努力を進んですべきであろう。節電、節水、ゴミの分別、隣人との助け合い…人任せではない、参加型の生活を目指す小さな努力が集まれば大きな力となり、時には間違いを正す力にも成りうるはず。納得した一歩を踏み出して初めて、「自分を生きている」と言えるのではないだろうか。自信過剰、思い上がり、一途な思考回路はとても危険。反省の繰り返しとは云っても大きな誤りを繰り返すのはこれまた人類の性なのか。良い指導者を得て、ともかく復旧に全力を。

          

                華道専慶流 西阪慶眞


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