専慶流●2010年1月1日発行/専慶流いけばな眞樹会主宰・西阪慶眞
万両

ポイント 
千両とともに迎春花に喜ばれる「万両」、縁起物ではあるが紅い実が葉の下に付く事から扱いにくく、花材にする事はまれである。花店に出る事も少ない。実は白や黄色もあり、背丈は1メートルにもなる。やぶこうじ科の小低木で、鳥の糞などで種が運ばれ、繁殖する。茎は直状で変化はないが、実の下がる表情を捉えることから、長い目に配し、葉は適度に空かすといい。


踊り葉牡丹は周囲の余分な葉を取り除き、中の美しい葉だけにして扱います。水揚げはいい方ではありませんが、逆さ水や一度バケツの水に全体をくぐらすと良好。ここで使用の万年青は普通種だが、斑入りを使えばさらに明るく、メリハリがつく。



●花材/ 万両、踊り葉牡丹、スイトピー、他
●花器/ 黒釉創作器
●花材/ 椿(侘助)、水仙
●花器/ 銀ライン入り創作花器

ポイント 
 
侘助系統の葉は少し細長く、葉縁のノコギリ状は少ない。花は可愛く、可憐で、軽い。葉を整理し、茎を見せながら花を点在させるといい。

●水揚げ 水揚げはとても良好で、この時期、水仙もちいい日持。

侘助


 宿り木 宿り木(花言葉=恋の予感)

「ササユリとの出会い」

 花の路に生かされて久しくなるが、この年になるとしみじみ「ありがたい」の感謝の気持ちが内から湧いてくる。そして、その路が生活の糧になっているのだからこれほど贅沢な話はない。思い返せば、若い頃には多くの可能性を夢見て無茶をした事も多々あり、方向の定まらない日々を過ごした事である。一見、何のつながりも無い「横道での遊び」だったが、今、顧みるとあながち無駄ではなく、経験として、我が人生の底の方で支えてくれていたのではないかと思える。なかでも、植物との接触は最高の快感で、杜に入ると血管中に別世界のエキスが流れ込んでくるようなのです。通常の道では擦りながらのボチボチ歩きで、すぐに腰をかけたくなる身体なのに、自然の中ではまったく別人のように元気に歩き回れる。高木の枝先を眺め、太い幹を追い、そして、目線を下に向ければ、足下の小さな小さな命に釘付けになる。なんと云う名の花なのか、樹木なのか、或いは雑草なのか、そんな事はまったく無頓着で、形や命そのものとコンタクトをとる。色、艶、勢い、濃い薄い、質感などあらゆる情報が私の身体の中でやり取りする。すごい情報量の交換だと思うのだが、まったく疲れない。なぜなら、私の意思で脳を操っているのではなく、自然と同化しているからなのだろう、酸素供給量は倍増して、スッキリ。知らず知らず荒れ地や樹林に迷い込み、ドキッとする事も。そんな時は青春は岐点の軌跡と解釈。あるとき、クマザサの群生地に立ち入った時の事、たった一本のササユリと遭遇したが、まさに共感覚、それこそ特別の色彩を放っていた事は云うまでもない。

純白なのに様々な色に変化し、七変化に輝き放ってくれたのである。
 
日本全国のあらゆる地域で自生していた「ササユリ」。それがことごとく姿を消し、今では自生種に遭遇する事はとても珍しくなった。とても残念な事で、なんとか繁殖出来ないものかと昨年、種を入手、発芽作業に着手した。実生から6〜7年はかかると云われる、気の長い話なのだが、今はこの作業が最大の夢となっている。奈良県、率川神社の三枝祭(さいくさまつり)は別名ユリ祭りとも云われ、古くから三輪神社からササユリが運ばれていたという。野性種が激減した昨今、農業試験場の指導でバイオササユリを栽培している。全国でもササユリ研究は進んでいるようで、是非とも野山に甘い香りが戻ってほしいもの。晴好雨奇、自然って晴の日だけがベターではない。曇り空、小雨、霜のおりた日、風の日、小雪舞う日、そして、早朝、昼間、夕暮れ、月明り、その時々で魅力は異なるもの。さらに云えば、もし誰かと一緒の場合はその相手によっても大きく異なる事も。だから同じ場所でも何度でも出かける。自然ってありがたい、二度と経験しない自分だけの秘めたる自然美が体感できるのだから。自然から学ぶ人生、花に生かされる人生、感謝にたえない。

           華道専慶流いけばな 西阪慶眞


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