2002年9月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞

花材/枯れ蓮、パンパス、コスモス、リゴリス、モンステラ

ポイント 花が散った後の「蓮房」を逆さに吊るし乾燥させると茎は気ままな曲線を描く。乾燥後は撓めはきかないため、その自然な曲がりを生かし、リズミカルな動きを捉え構成する。パンパスは分けて、柔らかな流れで添える。



花材/栗、アンスリュームの葉、デンファーレ

ポイント 食用栗は実が大きく扱いにくいが山採りのそれは小振りで、しかも幹に変化があるため、一般には野生の栗を素材とする。茎は折れやすく撓めはあまりきかないため、自然の趣を捉えて構成する。また、栗は見た目以上に重く、かなり強く挿して剣山に固定しないと倒れることがある。また、時には剣山ごと倒れることがあるので左右前後の重量バランスをしっかり取ることも初心者には大切なこと。

ここでは葉をすべて取っているが、栗の葉は案外綺麗なもので風情もある。したがって小さな葉を少し残し、その艶やかな葉色をアクセントにするのも大いに考えたい。しかし、あまり日持ちしないのが難点で、アルコールに少し浸し水揚げ処理する事を薦めたい。

栗の茎の美しさを引き立てるよう大振りの葉ものを面的に添えます。


(白花彼岸花) 

太陽になろう

 すべての動植物は太陽の光の恩恵を受けて育んでいる。森の中に育つ木々を見てもわかるように大木の下には陰樹が生存するが、陰樹といっても暗闇ではなく、木漏れ日を受けるからこそ生きられるのであり、少しでも明かりのある方へと枝を伸ばし繁殖する。
 太陽はさしずめ「愛」である。愛を投げかければ相手は育とうとする。誰もが愛を受けたいと願っているが、とくに弱者はそうである。女性を男性に比べ弱者とするならば、女性は男性よりはるかに愛を求めていると云える。つまり背の高い大樹(強者な男性)に成長したものは、いつも燦々と太陽を受けるが、陰樹(弱者、さしずめ女性)は安穏とはしていられず、大樹の木漏れ日(愛)を恵みとし、喜びとしている。幼児の場合はとくに愛に飢えている状態と云える。母親の愛なくして身を守るすべを知らない子供は必死で母親にしがみつく。親はその子供の太陽となるべく、大きな愛で包み込み、すべての敵から守り、大切に育てる。しかしここで履き違えばとんでもない軟弱な子、常識知らずの子に育て上げることになる。風雪に耐えた木々、寒暖差のある地で育った草花のあの鮮烈で澄み切った花色に感動を覚えた人は少なくないはず。つまり「愛する事」と「甘やかす事」には大きな違いがある。また、人と人間は違う。人を人間にする事が学校教育、社会教育の原点であり、人と人の間を大切にするためのマナー、エチケットなど、最低限のしつけは親の義務である。幼児期の生活環境で受けた魂はその子の一生についてまわる。そのカギを握るのは母親であり、き然とした態度と輝き続ける愛なのです。
 愛するとは相手を見つめる事であり、愛されるとは見つめられる事である。上に立つものや指導者は「見つめ続ける」事を第一にしなければならない。真剣に見つめていると子供の少しの異変にもすぐ気づき、何故泣いているのか、何を欲求しているのか察知することができる。しかし、水をやりすぎて根腐れを起こし枯死させたり、害虫が着いているのに放置しておいて枯れさせるのは、見つめる愛の不足から生じる事。お箸を持ったまま走り回る子供を見て、知らん顔していては人の親とは云えない。つまり、その先に何が起こりえるか、危険を察知する能力のない子供に的確に教育する…、それも親の大切な愛なのである。
 いけばなを指導する我々は親と同じ立場であり、木漏れ日をコントロールしながら「愛」を投げかけるのである。時には強く、ある時は優しく、褒め讃え、長所を伸ばし、欠点を戒める。単なる教育と少し違うのは知識やマナーの範疇だけ ではなく、個性、感性の世界である。この世界は四角いものでもなければ丸いものでもない。こんな形でなければいけないと云う事もない、まったくの自由表現の世界…十人十色である。だから社中をしっかり見て的を得た指導、指針を示す。逆に習う側は師の愛を全身に受け止め、抽象解釈して吸収、消化するのである。しかし、中には「私にはいつも厳しい」と思う人がいる。それは大きな勘違いで、厳しければ厳しいほど自分への期待度が高いと解釈しなければいけないのです。綺麗な花を咲かせるにはそれだけの試練が必要なのは人間も同じだからです。

                             華道専慶流 西阪慶眞


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